WEBサイトや記事のユーザビリティの重要性|向上させる方法も解説
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「WEBサイトの離脱率が高い」「なかなかコンバージョンにつながらない」という場合、ユーザビリティに問題があるかもしれません。
WEBサイトやWEBページのユーザビリティを改善することで、ユーザー満足度を向上させたり検索順位が上がったりする効果が期待できます。
本記事ではユーザビリティの基本をふまえ、ユーザビリティの改善方法や調査方法について解説します。また近年注目されている「モバイルユーザビリティ」や、ユーザビリティ改善のうえでの注意点についても触れているので、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
ユーザビリティとは
ユーザビリティ(usability)とは「use」「ability」を掛け合わせた言葉で、日本語では「使いやすさ」「使い勝手」「有用であること」といった意味合いがあります。
ユーザビリティという言葉は主にIT業界で利用されます。クラウドサービスやソフトウェアなどにおけるユーザビリティは、利用したときの使いやすさや、利用したことによる効率性向上などが該当します。
またツールだけでなく、WEBサイトや記事コンテンツなどにもユーザビリティが求められるようになってきました。これらにおけるユーザビリティとは、ユーザーが知りたい情報を見つけやすい操作性やデザイン、ユーザーが求めている情報が網羅されている有用性などが含まれます。
検索エンジンの検索アルゴリズムにも、ユーザビリティを重視する項目が取り入れられています。Googleでは「Googleが掲げる10の事実」にてユーザーの利便性を最優先にしていると公言しており、ユーザビリティを重視していることがわかります。
実際、コンテンツの専門性・権威性・信頼性を重視する指標「E-A-T」や、ページ表示速度に関する指標「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」がGoogle検索アルゴリズムに組み込まれています。
このように検索エンジンでもユーザビリティ重視の傾向が高まるなか、WEBサイト運営者もユーザビリティについての理解が求められているのです。
ISOやJISの定義
国際的な共通基準を定める国際標準化機構「ISO」や、日本国内での規格を定める日本産業規格「JIS」では、ユーザビリティについての定義を公表しています。
ユーザビリティについての情報発信をしているU-Site(運営:株式会社イード)によると、ISO 9241-11を一部変更したJIS Z 8521にてユーザビリティは以下のように定義されているそうです。
UIとの違い
ユーザビリティと混同しやすい言葉に、UI(User Interface:ユーザーインターフェース)があります。
UIとは直訳すると「ユーザーとの接点」となり、WEBサイトなどとユーザーがつながる部分を指します。具体的にはWEBサイト内におけるボタンの操作性やメニューのレイアウトなど、WEBサイトを構成する要素がUIです。
UIによってWEBサイトとユーザーは接点を持ちますが、そのUIが優れているほどユーザーは「使いやすい」「見やすい」といった充足を感じます。これがユーザビリティです。
つまりUIを評価する指標がユーザビリティと言えるでしょう。
UXとの違い
ユーザビリティと混同しやすいもう一つの言葉がUX(User Experience:ユーザーエクスペリエンス)です。
UXを直訳すると「ユーザー体験」を意味し、ユーザーが製品・サービス・WEBサイトなどの利用を通じて得られる体験全般を指します。たとえば「このWEBサイトは使いやすくて感動した!」「こっちのWEBサイトは見にくいからもう使いたくない」といった体験がUXとなります。
「UXが高いWEBサイト」とは、ユーザーにとって使いやすく満足感を得られるWEBサイトこそUXが高いといえるので、つまりユーザビリティが優れているWEBサイトはUXが高いと言えます。
このようにユーザビリティを向上させるとUXも向上するため、両者は大きな関連性があるのです。
WEBサイトや記事のユーザビリティが低いデメリット
WEBサイトや記事コンテンツでもユーザビリティが求められていますが、なぜこれほどユーザビリティが注目されているのでしょうか。そこで、ユーザビリティが低いことによるデメリットを理解しましょう。
離脱率が高まる
ユーザビリティや低いとユーザーは「もう見なくて良い」と感じ、サイト内を回遊することなく離脱してしまいます。本来であればWEBサイト内の別ページに遷移してもらいPV数を増やしたいところですが、すぐに離脱してしまうとPV数を延ばせません。
また、ユーザビリティの低いWEBページはユーザーの滞在時間も短くなる傾向です。コンテンツを作りこんでもじっくりと見てもらえていないため、せっかくのリソースが無駄になりかねません。
コンバージョンにつながらない
せっかく記事内でユーザーの購買意欲を高められたとしても「お問い合わせボタンがどこにあるかわからない」「入力フォームが複雑だから面倒」などとユーザビリティに問題があると、コンバージョンにつながらずCV率が低くなってしまいます。
SEO対策にコストやリソースをかけて上位表示を獲得しても、CV率が低ければ費用対効果は期待できません。
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読者の満足度が低下する
JIS規格にもあったように、ユーザビリティにはユーザーの満足度も影響します。つまりユーザビリティの低いWEBサイトや記事は、ユーザーの満足度も低下してしまうのです。
WEBサイトに対する満足度が低下してしまうと「PV数が減る」「ファンを獲得できない」といったデメリットがあります。ひいては企業ブランドのイメージ低下にもつながるリスクもあります。
Googleから低く評価され検索順位が上がらない
「E-A-T」や「Core Web Vitals」などの指標がGoogleの検索アルゴリズムに組み込まれていることからも、Googleのユーザビリティ重視の傾向が読み取れます。そのためユーザビリティが低いWEBサイトは、必然的にGoogleからも低く評価されてしまう可能性が高いです。
低評価されてしまうと検索順位が上がらず、なかなか集客効果につながりません。
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近年注目されている「モバイルユーザビリティ」とは
WEBサイトのユーザビリティを考えるときには、スマートフォンに最適化するための「モバイルユーザビリティ」も頭に入れなければいけません。
このモバイルユーザビリティとはどのようなものなのか、背景をふまえ解説します。
モバイルユーザーの増加
モバイルユーザビリティが必要になった背景として、スマホの普及率向上があります。
普段から街行く人たちを見ていてもスマホを使っている人が大半であるため、スマホユーザー増加を肌で感じている人も多いのではないでしょうか。データを見ると、普及率向上がさらに顕著にわかります。
総務省による令和2年版情報通信白書によると、2019年のスマホ普及率は83.4%。2010年はわずか9.7%だったため、約10年間で急速に広まったことがわかります。
参考:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd252110.html
PC用ページをモバイルで表示すると見にくい
スマホによるインターネット活用が進むにつれ、WEBサイトの見にくさが問題視されるようになりました。
パソコン画面は横長であるのに対してスマホ画面は縦長なので、パソコン用のWEBページをスマホで表示すると適切に表示されないのです。たとえば文字が小さすぎてズームしなければいけなかったり、画像サイズが大きすぎて読み込み時間がかかってしまったりします。
がんばってパソコン用サイトのユーザビリティを上げても、モバイルユーザーにとってはユーザビリティが低いという事態になってしまったのです。
モバイルでのユーザビリティも意識する
スマホを利用して検索行動をするユーザーが増加しているなか、モバイルユーザーにとってのユーザビリティは無視できない状況です。
Googleもモバイルユーザーを重視する傾向にあり、モバイルフレンドリーアップデートの実行、MFI(モバイルファーストインデックス)の導入などが行われています。
こうした背景からモバイルユーザビリティの重要性が高まり、WEBサイトのユーザビリティを考える際にはモバイル向けの対策も必要になりました。モバイルユーザビリティも意識しましょう。
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ユーザビリティが高いWEBサイトの特徴
それでは、ユーザビリティが高いWEBサイトの特徴を紹介します。ユーザビリティが高いポイントはさまざまですが、ユーザビリティが高いサイトは共通して以下の項目を満たす傾向があります。
ぜひ参考にして、自社サイトのユーザビリティ改善に役立ててください。
ページの表示速度が速い
ページの表示速度はユーザビリティを大きく左右します。表示速度が遅いとユーザーは不満を感じ、離脱を招きます。
Googleがアルゴリズムとして導入している「Core Web Vitals」もページの表示速度や安定性などの指標となっています。
自社サイトの表示速度を計測したい場合は、Googleが提供している「PageSpeed Insights」を活用しましょう。
サイトの表示速度をスコアリングし「Core Web Vitals」の3つの指標(LCP・FID・CLS)も測定します。また下部には改善できる項目や診断内容についても表示されるため、項目に沿って修正することでページ表示速度を改善できます。
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レイアウトが分かりやすい
WEBサイトのレイアウトがわかりやすく、自分が知りたい情報がどこにあるのかを見つけやすいとユーザビリティは向上します。
TOPページであれば「グローバルナビゲーションが見やすい」「コンテンツが整理されている」「余計なテキストがない」などが、ユーザビリティが高いWEBサイトに共通している項目です。
またカラムが多すぎると目線が分散してしまい、ユーザーの意識が集中できません。
情報を詰め込みたくても、複雑なレイアウトにならないよう注意しましょう。
ボタンやリンクがクリックしやすい
クリックのしやすさもユーザビリティを高めます。ボタンやテキストリンクなどクリックする要素は多岐にわたりますが、ユーザビリティが高いWEBサイトはクリックしやすいよう工夫されています。
特にスマホユーザーは指でタップすることが多いため、ボタンや小さすぎたりテキストリンク同士の間隔が狭かったりすると、クリックのしにくさを感じます。
必ずスマホ用ページも確認し、クリックしやすいかチェックしましょう。
入力フォームが最適化されている
入力フォームが複雑だと、ユーザビリティが低下しコンバージョンにもつながりません。
EFO(Entry Form Optimization:入力フォーム最適化)という言葉も登場しているほど、入力率を高める施策は重要視されています。
入力項目が多すぎたり、入力できる幅が狭かったりするとユーザーはストレスを感じユーザビリティが低下します。ユーザビリティが高いサイトでは、必須・任意の入力項目が分けられていたり住所の自動入力が導入されていたりするので、参考にして改善しましょう。
レスポンシブウェブデザインになっている
モバイルユーザビリティを高めるためには、まずはモバイル用サイトを用意しなければいけません。しかし通常のWEBサイトとは別にモバイルサイトを制作すると、運用や管理が大変になり行き詰まってしまいます。
そこで、WEBサイトを自動でモバイルサイトに最適化するレスポンシブウェブデザインを導入しましょう。レスポンシブウェブデザインはGoogleでも推奨している方法なので、Googleからの高評価にもつながります。
参考:https://developers.google.com/search/mobile-sites/mobile-seo/responsive-design?hl=ja
ユーザビリティが高い記事の特徴
WEBサイト全体だけでなく、各詳細ページである記事コンテンツにもユーザビリティが求められています。ユーザビリティが高い記事には、以下の項目が共通しています。
読者の検索ニーズを満たす内容である
記事にたどり着いた読者は「知りたい」「解決したい」などのニーズをもって検索行動をしています。その検索ニーズに応えられる内容であるほどユーザーは満足するため、ユーザビリティが高いと言えます。
ユーザビリティが高い記事は、しっかりと読者の検索ニーズをふまえて執筆されています。一方、ユーザビリティが低い記事は読者の検索ニーズが反映されておらず、宣伝色や営業色が強い自己満足な内容になりがちです。
情報が網羅されている
情報の網羅性もユーザビリティを高めます。
一つの検索キーワードに対し、読者はさまざまな検索ニーズを抱えています。たとえば「ディズニー 家族」という検索キーワードでも「家族で楽しめるディズニーランドのアトラクションを知りたい」という読者もいれば「家族でディズニーに行くときの持ち物を知りたい」という読者もいるでしょう。
関連する情報を網羅した記事コンテンツほど、さまざまな読者のニーズに対応できるうえ、読者は一つの記事を読むだけで多くの情報を得られます。
信頼できる情報である
情報の信頼性は、Googleの評価指標「E-A-T」にも含まれているように重要度が高い項目です。
あらゆる情報をインターネットで入手できるようになった現代では、読者の目も肥えています。読者は根拠のない情報を参考にするリスクを学習しており、信頼できない情報は切り離すスキルを持ち合わせています。
記事に書かれている情報が信頼できる内容であるほど、ユーザーは「参考になった」と満足感を感じユーザビリティが向上します。情報の信頼性を高める方法としては、根拠となる一次情報の提示や、専門家への取材や監修などが挙げられます。
見出しや画像などが適切に使用されている
記事コンテンツ自体のレイアウトやデザインなどもユーザビリティを左右します。
テキストだけが羅列された記事は、たとえ素晴らしい内容だったとしても、読みにくくてユーザビリティが高いとは言えません。
大見出し・小見出しを使って読みやすいように構成されていたり、文章だけではわかりにくい箇所は画像などを使用したりする工夫が必要です。
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文章がわかりやすい
わかりやすい文章で書かれていることは、ユーザビリティが高い記事の大前提とも言えます。
「句読点が少なすぎる/多すぎる」「接続詞が使われていなくて文章の関係性がわからない」「専門用語ばかり使われている」などはユーザビリティが低い記事にありがちなポイントです。
ユーザビリティ向上のためには、誰が読んでもわかりやすい文章を心がけましょう。
ユーザビリティの確認方法
自社サイトのユーザビリティを確認する方法はいくつかあります。代表的なものを紹介します。
オフラインのユーザビリティテストを実施する
実際にWEBサイトを使っている様子を見ることで、ユーザーが操作中にどのように感じているのかを把握できます。Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールではわからない、ユーザーのリアルな様子を知るには、対面でのユーザビリティテストが有効です。
会議室などに被験者を招き、実際にWEBサイトを使用している様子を数名で観察します。どのように操作しているか、迷っている箇所はないかなど、自社でのチェック項目に沿って確認していきます。
またテスト中は被験者に発言してもらうことも重要です。感じたことや印象を発言してもらえば、より細かくユーザー心理が読み取れます。
実際に利用している様子を見られるためリアルなユーザビリティを知れますが、被験者集めや場所の確保などリソースがかかる点が懸念されますが有効な施策と言えます。
オンラインのユーザビリティテストを実施する
ユーザビリティテストはオンラインでも可能です。事前に被験者にテスト内容を共有しておき、被験者がWEBサイトを利用している様子を録画してもらう方法が一般的です。
自宅などリラックスした状況でテストができるため、よりリアルな声を拾いやすいというメリットがあります。ただし「この部分をもっと詳しく聞きたい」というときに深掘りできない点はデメリットになるでしょう。
ヒューリスティック評価を行う
ヒューリスティック評価も、ユーザビリティ調査によく使われる手法です。
ヒューリスティック評価とは評価指標をもとにチェックリストを作成し、リストに沿ってWEBサイトを動作させてチェックしていく方法です。
通常は専門家がWEBサイトを評価する分析手法ですが、専門家への依頼が難しい場合は自社内でも実行できます。ただし分析者の主観が入ってしまい評価結果に偏りが出てしまう可能性があるため、複数名で実行すると良いでしょう。
Googleの「モバイルフレンドリーテストツール」「サーチコンソール」を使う
モバイルユーザビリティを確認するためには、Googleが無料で提供している「モバイルフレンドリーテスト」が有用です。URLを入力するだけでモバイル対応になっているかどうかチェックできます。
また、より詳細を調べたい場合はGoogleサーチコンソールもおすすめです。エラー項目の詳細内容が表示されるため、内容に沿って修正するとモバイルユーザビリティを向上できます。
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ユーザビリティ改善の際に注意するポイント
ユーザビリティはWEBサイト運営で見逃せない指標ですが、改善にあたって意識すべき注意点がいくつかあります。
アクセシビリティと混同しない
ユーザビリティを考えるうえで「万人にとっての使いやすさ」を目標とする例がたまに見られます。しかし、これはユーザビリティではなくアクセシビリティ(accessibility)となってしまいます。
アクセシビリティとは誰にとっても使いやすいことを意味し、高齢者やITリテラシーの低い人などでも問題なく操作可能なWEBサイト設計を目標とします。
しかしユーザビリティは、定義にもあるように特定のユーザーが特定の利用状況での使いやすさを目指します。ターゲットユーザー以外のユーザーは対象としていません。
「どんな人でも使える」と「ターゲットユーザーが使える」では求められる改善内容も異なるため、ユーザビリティを改善するときにはアクセシビリティと混同しないよう注意してください。
ユーザー像を明確にする
ユーザビリティは特定のユーザーを対象としているため、ターゲットとなるユーザー像を細かく設定する必要があります。ターゲットが明確であるほど、ユーザーの利用状況や利用中の感情などを理解しやすいからです。
ユーザー像を考えるときには、ペルソナを設計すると良いでしょう。ペルソナは典型的な自社サイトのユーザーであるため、ペルソナの心理を紐解くことでユーザビリティの改善がスムーズになります。
第三者の意見を取り入れる
ユーザビリティはあくまでも「ユーザー視点」の指標なので、主観ではなく客観的な意見が求められます。
WEBサイトを制作した本人がユーザビリティを評価すると、どうしても主観が混じってしまいます。そのため、ユーザビリティテストやヒューリスティック評価などで第三者の意見を取り入れる機会を作りましょう。
まとめ
WEBサイトや記事コンテンツのユーザビリティは、WEBサイト運営者にとって重要視すべき項目です。ユーザビリティを改善するだけで、離脱率やCV数の改善にもつながります。
ただしユーザビリティ改善が自己満足になってはいけません。明確なペルソナを設計したり第三者の意見を取り入れたりして、よりユーザー視点での改善を行いましょう。
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