スマートスピーカーへのSEO対策はどうなる?音声検索向けキーワードとは
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インターネットサービスの利用が進み、音声認識の技術の進歩のおかげで普及しつつあるスマートスピーカー。先駆けの北米に追随し、昨年日本でもGoogle、Amazon、LINEなどから相次いで発売されています。音声検索の広がりによってSEO対策はどう変わるのか、実際に利用してみての気づきを踏まえて考えてみました。
米国で急成長し、昨年日本でも発売されたスマートスピーカーとは?
2017年末、米国でのスマートスピーカー出荷台数は4500万台に達しました(*1)。インターネットと接続し、人の音声を認識し、AIが質問や要望に応えて私たちの暮らしをサポートしてくれるスピーカー、それがスマートスピーカーです。
音楽を聴く、スケジュールやニュースを読み上げる、照明など家電のオンオフのほか、検索の際のタイピングの煩わしさから解放される利点は大きいと言えるでしょう。
先行していたGoogleの「Google Home」、Amazonの「Amazon Echo」に遅れて、2018年2月にはAppleが「Apple HomePod」を発売。
日本でも昨年2017年からGoogleの「Google Home」、Amazonの「Amazon Echo」、LINEの「Clova WAVE」の販売が本格的に始まりました。スマートスピーカー市場には、GoogleやAmazonなど自社で音声アシスタントを開発する企業だけでなく、オンキヨーやソニーといったサードパーティー(ある企業が構築したビジネスモデルに第三者的に参加する企業のこと)の音響メーカーや家電メーカーも参入し国内で使える製品の発売を開始しました。
どちらもGoogleアシスタントを搭載し、Google Homeと同じように使えて、かつそのメーカーの特長を併せ持っています。
Googleアシスタントとは何か?
Googleが開発したAIを用いた対話形の検索サービスのことで、Googleアシスタント開発担当者のスティーブ・チェン氏は、2017年5月の日本語版発表後のインタビュー(*2)で「ユーザーの意図を正確に理解する仕組み」であり、「グーグルそのものを人間にしたら、という人格にしている」と答えています。
そして「(PCやスマホで行う)グラフィカルインターフェース(GUI)は段階的に情報へアクセスするようデザインされていて、本当に知りたい情報へ行き着くには何度もタップする必要がある。ボイスインターフェイスなら、ユーザーの意図を正確に理解できれば一発でアクセスできる」と語っています。
「ユーザーの意図を正確に理解する」といっていますが、スマートスピーカーなら今の時点でどこまで可能なのか?実際に使ってみて検証したいと思います。
「スマートスピーカーにできること」グーグルホームで音声検索したら
家電量販店で熱心に勧められたのがGoogle Home。最も使う頻度の高い、キッチンのカウンターに設置。関西弁の私の問いかけもちゃんと認識してくれます。質問すると返答は大体15秒程度で読み上げられ、今日の天気や株価、日の出日の入時刻など1問1答のやりとりはスムーズです。
言葉の意味を額面通りに捉えてしまう
では「風邪ひいた、近所のお医者さんを教えて」「周辺にある美容院は?」と尋ねると、「5km以内に10件以上見つかりました。1番目は~」と現在地から最も距離の近いものを選びその情報のみ答えてくれます。
かなり早口で集中していないと聞き逃してしまうし、1番のものは分かっても、2番目以下の選択肢は知ることが出来ないようです。しかも「1番近い」のであって「1番ぴったり」とは限りません。
料理のレシピの場合では…
同様のことが料理のレシピ検索でも発生します。Googleアシスタントはそれ単体だけでなく、「Actions on Google」といってさまざまなアプリと連携した検索サービスを行っています。
料理を検索したい時は「楽天レシピに繋いで」と伝えてアプリを開き、食材を言ってレシピの提案を受け、作りたいものが決まるとレシピがスマホにメール送信される仕組み。「牛テール肉、ネギ、にんにく」と言うと、テールスープの作り方のレシピが1件送られてきました。
読んでみましたがしっくりせず、結局タブレットで普通に楽天レシピを検索してしまいました。すると下ごしらえの方法も載っていて、まず下茹でが必要なことを初めて知りました。スマートスピーカーでの検索のみだと、必要な情報を知らずにいる可能性があると痛感しました。
Googleが得意な道案内では?
交通情報はどうでしょうか。「ここから羽田空港までの行き方は?」と尋ねると「現在地から徒歩5分の○○バス停から、羽田空港行き〇時〇分発のリムジンバスが最短ルートです。所要時間約〇分です」と答えてくれて便利に思えます。けれど本当に知りたいのは、「明日羽田空港〇時発の飛行機に乗る。間に合うためには結局家を何時に出て、どんなルートで行くのが最適なのか」なのです。
改めてそう問いかけると「分かりません」という返事。よりユーザーの好みに合った結果を返そうとしているが、まだ完全ではないことがわかります。
流石にAIだなと感じたのは、直前の検索内容を記憶している点。首都高速の渋滞情報を尋ねると答えられないけれども、その後に目的地を告げて経路を尋ねると、車で行くと判断されて車での経路や所要時間を教えてくれました。一方、電車での経路は改めて「電車で」と言わないと出てきません。
高速道路の渋滞情報の検索はまだ出来ず、電車の遅延情報はアプリの「電車動いてる?」に繋げて聞く形ですが、現在のところすべての路線は網羅されていないようです。色々な交通手段での経路案内が整備される日が待たれます。
用語などの名詞の検索では?
用語の検索はどうか?音声検索は、GoogleアシスタントやSiriを使ってスマホでも行えます。
試しに『セスキ炭酸ソーダ』(洗剤として掃除や洗濯に用いられている)をGoogle Home、スマホのGoogleアプリを用いて音声とキーワードをタイピング、PCのGoogleを用いて、の4パターンでそれぞれ検索してみたところ、以下のような結果となりました。
Google Homeの場合
Google Homeは「セスキ炭酸ソーダの使い方」については答えられず、「セスキ炭酸ソーダって何?」の質問には「ウィキペディアでは、炭酸ナトリウムと・・」と化学用語の説明にとどまりました。
スマホのGoogleアプリとPCのGoogleの場合
一方、スマホやPCでは、SERP(検索結果を表示するページ)では画面の一番上にネットショッピングの広告、その次に検索結果1位の「セスキ炭酸ソーダの使い方」が表示され、右上にウィキペディアが表されました。
ユーザーの目的は化学構造を知ることでなく、どのように使うのかを知りたい、あるいは手に入れたいということ。将来は、スマートスピーカーからネットショッピングも可能になるようだが、現時点ではユーザーにとってはデバイスの使い分けが必要だと感じました。
これからのSEO 検索順位を上げるには?求められるキーワード
現時点で、日本国内において「スマートスピーカーのできること」のうち検索シーンで十分使えるなと思うのは、天気予報・株価・時刻といった、答えが1つ、かつ汎用性の高い情報といえます。
「言葉の意味や定義を知りたい」という点でも、一応使用に耐えうると感じます(ただし他のメディアとの紐付けはまだ未完成。「栃ノ心って誰?」という問いかけに「ウィキペディアでは春日野部屋の・・」と答えたが、「今年の大相撲初場所の優勝力士は誰?」には答えられなかった)。
スマートスピーカーさらに普及し、音声でさまざまなサービスが受けられるようになったら、コンテンツを提供する側が検索順位を上げるために必要なことは何なのでしょうか。
- キーワードは従来のように検索窓に入れる単語ではなく、話し言葉に近いもの。「~したい、~して」とユーザーの意図が感じられる形。
- 検索結果が複数あると、現状は1番目の情報しか伝えられない。1番になるためには個々のユーザーの本当の目的を汲み取って、検索後にどうしたいか、アクションにつながる仕組みにする。
- ユーザーはハンズフリーで音声検索をしたい。だが結果をどうやって知りたいかは個々に異なる。音声か目で見たいのか、両方なのか、ユーザーの好みに合った提供の方式が用意されたコンテンツが欲しい。
まとめ 将来の展望 スマートスピーカーで暮らしはどう変わるか
スマートスピーカーに対する期待が高いのは10代と50歳以上という報告があります。(*3)
今やシニア層にとってもインターネットは欠かせず、デバイスの使い分けにも慣れています。まだ発展途上の日本版スマートスピーカーだが、タイピングの手間や疲労のない音声検索はメリットが大きく、「スマートスピーカーにできること」が充実する日を心待ちにしたいところです。
今年初めには米国googleがスピーカーの新しい形、Smart Displayを発表し、各社もこれに続いています。(*4)(*5) 日本での発売は未定だが、音声認識で欲しい情報が画像や映像でも得られるなら、上記で述べたようなストレスもなくなると考えられます。文字・音声・画像が複合的に備わった魅力的なコンテンツやサービスが更に求められるのではないでしょうか。
参照先URL
(*1)【CIRP調査】2017年Q4アメリカのスマートスピーカー出荷台数・シェア調査、Googleのシェアが30%超へ
(*2)インタビュー「Googleアシスタントの人格はグーグルそのもの」グーグル徳生氏、開発担当者のスティーブ・チェン氏に聞く
(*3)スマートスピーカーに対する期待値は、10代、50歳以上で高い~ニールセン 消費者のマルチデバイスの利用状況を発表~
(*4)Google、「Amazon Echo Show」対抗の“スマートディスプレイ”ソニーやLenovoが発売へ
(*5)Google Japan Brog「Googleアシスタントでできること」2018年1月10日水曜日
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